外壁塗装の契約前に確認する書面
見積もりの比較が済んで発注先を決めたあと、最後に残るのが契約です。 ここを口約束で進めてしまうと、後から起きた食い違いを解決する手がかりがなくなります。
契約書は法律上の義務
建設業法では、請負契約を結ぶときに書面を作成して相互に交付することが 定められています(第19条)。金額の大小にかかわらずです。
つまり**「うちは契約書を作らない」という業者は、その時点で法律上の義務を果たしていません。** 電子契約でも構いませんが、何らかの形で書面が残る必要があります。
契約書に記載すべき事項も条文で定められています。主なものは次のとおりです。
- 工事内容
- 請負代金の額
- 工事着手の時期と完成の時期
- 請負代金の支払いの時期と方法
- 設計変更・工期変更があった場合の定め
- 天災など不可抗力があった場合の定め
- 引渡しの時期
- 契約に関する紛争の解決方法
- 瑕疵(かし)担保責任、またはその保証保険契約に関する定め
契約前に見ておく5つ
1. 工事の範囲
どこを塗るのか、どこを塗らないのかが書かれているかを確認します。
外壁だけなのか、屋根・軒天・雨樋・破風板・ベランダ内部を含むのか。 「付帯部一式」とだけある場合は、その中身を列挙してもらってください。 見積書の段階で分解しておくと、そのまま契約書に反映できます。
2. 支払い条件
着工金・中間金・完了金の配分と時期を見ます。
着工前に全額を支払う条件は避けてください。 工事が完了しなかった場合に取り戻す手段がなくなります。 一般には契約時・着工時・完了時に分けるか、完了後一括のいずれかです。
3. 工期と天候による延期の扱い
塗装は雨天では施工できないため、工期がずれること自体は普通です。 問題になるのはずれたときの扱いが決まっていない場合です。
延期の連絡方法、追加費用が発生するのかしないのか、を確認しておきます。
4. 追加工事が発生したときの手順
足場を組んで初めて分かる劣化(下地の傷み、雨漏りの痕)はあります。 そのとき追加工事を口頭で進めない取り決めがあるかどうかが大事です。
「追加が発生する場合は、着手前に書面で金額を提示し、承諾を得てから施工する」 という一文があれば、後から想定外の請求が来ることを防げます。
5. 保証の中身
保証は保証書という形で発行されるかを確認します。
- 対象(塗膜の剥がれ・膨れ・変色など、どこまでか)
- 期間(部位ごとに違うことがあります)
- 免責事項(自然災害、経年劣化のうちどこまでが対象外か)
- 保証するのは施工会社か、塗料メーカーか
自社保証はその会社が存続していることが前提です。 建設業許可を長く維持しているかは、 そこを推し量る材料の1つになります。
建設業許可がない業者と契約する場合
税込500万円未満の工事であれば、建設業許可がなくても適法に請け負えます。 許可がないこと自体は問題ではありません。
ただしその場合でも、 建設業法にもとづく契約書の交付義務は許可の有無にかかわらず適用されます。 書面を出さない理由にはなりません。
引渡しのときに受け取るもの
工事が終わったら、次のものを受け取って保管しておきます。
- 保証書
- 工事完了報告書(施工前・施工中・施工後の写真)
- 使用した塗料の製品名と数量が分かる資料
足場を解体した後は、高所の施工状態を自分で確認できません。 中塗り・上塗りの各工程を撮影した写真をもらえるか、 契約前に確認しておくと確実です。
困ったときの相談先
- 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル) — 国土交通大臣指定
- 消費者ホットライン 188 — 最寄りの消費生活センター等
- 建設業許可を出した行政庁 — 許可業者に関する相談窓口